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2021/05/03

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

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恋して競輪ハンター 84 Hunting

競輪に関わっていると、日々様々な瞬間に感じるものがあります。
それは「流れ」です。
予想した目で、やたらと3着が抜ける日は、「流れが悪いなあ」と言ったりしますよね。3着抜けに限らず、ギャンブルの引きの良し悪し。この「流れ」は目に見えないながらも、自分で変えられそうに思えるのも特徴です。本場にいるなら、券売機を変えてみる。3着が抜けるなら2車単で、裏ばかりなら3連複を買ってみる。どうにかこうにか変えて、良い流れを引き寄せようと躍起になります。でも、この時点でドツボにはまっていることも往々にしてあるものです。逆に流れが良い場合は、止めないように慎重になることも__。私が普段、一緒に車券を買う子で、3連複が当たっているからと、その日外れるまで3連複を買い続けていた、というのを見たことがあります。

ファンだけでなく、走っている選手にも流れがあるように感じます。目立つのは、やはり悪い方の流れ。直近成績を見たときに「落」や「失」といった着順の数字ではなく「漢字」がいくつもある選手を見ると、流れが良くないなあと思ってしまします。車券を買う側にとっては、それが予想の参考材料となりますが、きっとご本人からしたら、たまったものではないでしょう。「セッティングを変えた」「シューズを変えた」「誰かに相談した」というコメントはよく見ますが、「お祓いに行った」なんてコメントも読んだことがあります。人力が原動力となるこの競輪だからこそ、選手自身の流れを良い状態に持っていけるかどうかは、戦う上で重要な要素なのですね。
しかし、ここまで書いておいて言いにくいのですが、この「流れ」って本当にあるのでしょうか? 私は霊感もない人間なので、おばけを見たことがないですが、怖い話にはビビります。それと一緒で、ありもしない「流れ」に、勝手に惑わされているのでは?と考えました。

4月28日から始まった平塚競輪のF1初日。前半からたまに荒れることはあるものの、堅いレースが続いていました。そうです。「流れ」ができていたのです。しかし、私はこの流れをあえて見ないようにしてみました。すると、ちょうど狙ったタイミングで1万8000円の万車券が的中! 今日は堅い流れだと思って飲み込まれていたら、取ることができなかった車券です。目に見えないものに翻弄されることなく、勝負の世界を勝ち切った! そんな優越感に浸りました。
しかし、2日目以降の車券は苦戦。最終日に至っては「こうなったら嫌だなあ」という展開をぽろっと言うと、実際のレースがその通りに進む。そんなことが2度、3度と続きました。
「やばい……」と思った時には、時すでに遅し。私は「自分が狙った逆の展開で決まる日」という流れに飲み込まれ、ボロ負けを喫しました。初日のように見ないふりして、気にしないでいれば、ひらめいた別の展開を買っていたかもしれません(これはもちろんタラレバですが__)。でも、自分からドンドン負の流れに飲み込まれ、心はボロボロ、口座はスカスカの結末に漂着してしまったのです。

こんな風に、見えない「流れ」に目を向けてみると、勝負の世界の底知れなさを改めて実感し、少し怖くなりますね。ただ、見えないものに怯えて負けていくのは悔しいものです。今回改めて、自分を信じて、目に見える情報を信じて買うことの大切さを感じました。
流れなんてないさ! 流れなんて嘘さ!

(※本文中の画像はイメージです)

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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