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2022/03/10

P-Navi編集部

みなとみらいサイクルフェス

みなとみらいサイクルフェス

横浜市のみなとみらい地区で一般社団法人ジャパンサイクルリーグ(以下「JCL」)が主催する「みなとみらいサイクルフェス」が2月に開催された。会場は、人気観光地である赤レンガパーク。この日は、設営された特設周回コースで開かれたエキシビジョンレースのほか、子供自転車教室や一般参加者との走行会が開催された。


ヨコハマの人気スポット「赤レンガパーク」で開催された「みなとみらいサイクルフェス」

会場となった赤レンガパークは、明治末期から大正初期に国の模範倉庫として建設された赤レンガ倉庫を、当時の面影を残したまま文化・商業施設として生まれ変わらせたスポットだ。週末は食事や買い物を楽しむ市民や観光客で大いににぎわう横浜を代表する観光地でもある。このような土地でレースが開催されるのは、非常に珍しく、2022年シーズンの開幕前ではあるが、多くの注目が集まった。


選手たちとともに走る走行会が開催された


美しい海辺のパークを走る参加者たち

当日は快晴に恵まれ、最高気温は10度を下回ったものの、海風も穏やかで過ごしやすい環境に。サイクルロードレースの国内トップリーグであるJCLの参加する選手たちとともに、約100名の走行会参加者がサイクリングを楽しんだ。


小さな参加者と交流する選手


共に走るトップ選手らから走り方のコツを得た参加者も多かったという

さらに同会場の中央では、鈴木宏幸(キナンレーシングチーム)を講師とした自転車安全教室が催された。適切なタイミングでのブレーキやバランス、ハンドルコントロールを学んだ子供たちは、積極的にセクターをクリアするなど、めきめき上達を見せ、観客を驚かせていた。


小学生を対象に自転車教室も開催された


ひとりひとり丁寧に指導する講師の鈴木宏幸(キナンレーシングチーム)

エキシビションレースがスタートする頃には、会場には1000名もの観客が集まり、今か今かとレースのスタートを待っていた。この日設営されたのは1周 400mのスーパーショートコース。赤レンガ倉庫側には、ゆったりと広いオーバルコーナーが設置されたが、反対側には狭く鋭角に曲がるタイトコーナーが含まれ、その先は幅員1.8mの狭いストレート。選手たちは念入りに試走し、難しいコースの攻略のシミュレーションを行っていた。


スタートラインに付く選手たち。精鋭16名が集まった

JCLに参戦する8チームからエントリーした16名の選手がスタートラインに並ぶ。レースの距離は、このショートコースを30周する12kmに設定された。多くの観客が見守る中、レースがスタートした。

序盤、主導権を握り、ペースのコントロールを行ったのはベテラン畑中勇介(キナンレーシングチーム)。各チームは人数が少なく、コースの狭さもあり、打破する方法を模索しあう落ち着かない展開に。狭いパートで長く伸びた集団の前方には抜け出しを狙う選手たちが固まり、コース幅が広がるたびに強烈に仕掛け合う。


序盤は畑中勇介(キナンレーシングチーム)がレースをコントロール

この流れを山本元喜(キナンレーシングチーム)が断ち切った。山本元喜のアタックに、林伶音(ヴィクトワール広島) が、すかさず飛びつく。2名と集団との間が少し開くと、抜群のトップスピードを持つ横塚浩平(VC福岡)と高木三千成(さいたまディレーブ)が集団を抜け出して2名に合流した。 意志が合致した4名は、集団と8~10秒の差をキープし、逃げる。タイトなコーナーをギリギリで抜けていくハイスピードのレースの迫力に、集まった観客は引き込まれていた。


先行する林伶音(ヴィクトワール広島)、高木三千成(さいたまディレーブ)、山本元喜(キナンレーシングチーム)


マリンタワーや海を望むパークを走り抜ける。前方には宇都宮ブリッツェンとTeam UKYO相模原が集結

先頭4名とのギャップが広がるとTeam UKYO相模原と宇都宮ブリッツェンが前方に迫り出してきた。互いの力量をよく知るチーム同士が連携し、前方の4名との距離を絶妙に図りながらレースのコントロールを始めたのだ。


前方でコントロールを図るTeam UKYO相模原

ラスト8周を切ると、両者の差が急激に縮まり始めた。逃げ切りたい4名の背後に、スピードップして1列に長く伸びた集団が迫る。先頭4名と、追う集団との決死のチェイスに観客の興奮も高まった。


アタックを繰り出す小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

ラスト5周、いよいよメイン集団が前方4名を捉えた。この隙をつき、クリテリウム(小周回のレース)を得意とするスプリンター、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が、絶妙なアタックを繰り出す。この展開に反応できたのは宇賀隆貴(Team UKYO SAGAMIHARA)のみだった。残る周回は4周。この展開に躊躇(ちゅうちょ)し、できた一瞬の集団のお見合い状態を生かし、海野晋作(レバンフジ静岡)も飛び出し、新たに先行した2名に合流した。


小野寺、宇賀隆貴(Team UKYO SAGAMIHARA)、海野晋作(レバンフジ静岡)が先行する

レースはラスト1周に。コーナーからゴールまでの直線が短いレイアウトに勝機を掴んだのは 小野寺だった。スプリントへの立ち上がりから、宇賀に挑む隙を与えず、見事にゴールに飛び込んだのだ。3位は先頭合流時に消耗したものの、健闘を見せた海野晋作が食い込んだ。集団のトップは序盤のコントロールで沸かせた畑中勇介が奪取、4位となった。


見事なレース勘で勝利をもぎとった小野寺

3名の入賞者は、赤レンガパークで開催されていた「イチゴフェスティバル」にちなみ、シャンパンファイトではなく、イチゴミルクシェイクで健闘を讃え合った。


上位3名は勝利のイチゴミルクシェイクで乾杯!

見事な勝利を掴んだ小野寺は「楽しい!」と一言。横浜に住んでいたこともあり、「これほどの観客を前に、自分が元々住んでいた街でレースができたのは、ともかく嬉しかった」と喜びを隠せない様子。この日のレースは「最後によいラインをつかめた」と振り返る。「今年はロードレースでも勝てる小野寺を認識させたい」と、今シーズンへの抱負でインタビューを締めくくった。

シーズンに先駆けて開催された都市型エキシビションレースは、今シーズンの行方を占う展開になったのだろうか。観客を魅了する熱戦が展開され、ファンたちには今シーズンへの大いなる期待を膨らませる、見応えのある熱戦となった。リーグ戦「三菱地所JCLプロロードツアー2022」開幕戦は4月。移籍をした選手たちもおり、各チームの布陣も昨年からは変わってきている。今シーズンはもうひとつのリーグ、JBCFのプロツアーで総合優勝したマトリックスパワータグの参戦も決まっており(相互交流としてキナンサイクリングチームがプロツアーに参戦)、どのような戦いが繰り広げられるのか、楽しみだ。

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【結果】「みなとみらいサイクルフェス」エキシビションレース
優勝/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
2位/宇賀隆貴(Team UKYO SAGAMIHARA)
3位/海野晋作(レバンテフジ静岡)

画像:一般社団法人ジャパンサイクルリーグ

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