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2023/11/10

P-Navi編集部

ツール・ド・九州2023 第3ステージ大分

ツール・ド・九州2023 第3ステージ大分

大集団に残されていたアスタナ・カザクスタンチームが、UCI登録カテゴリー最上位のワールドチームの底力を見せ、強力な牽引でペースアップし、前方の集団と合流した。だが、先行する3名との差は2分以上開く、絶望的な状況に。

アンドレイゼイツ
自ら先頭に立ち、先行する3名との差を縮めるべく、集団を引き上げるゼイツ

ツールド九州2023第3ステージ大分で先行する3名
先行し、逃げ続ける3名

先行する3名の所属チーム以外も協力してペースアップし、3周目完了時点までに差は1分まで縮まった。
このまま最終周回へ。アスタナ・カザクスタンチームを中心に、決死の牽引で差を詰め、差は20秒まで縮まった。

ツールド九州2023第3ステージ大分で先頭集団を追いかける
先頭3名を追い上げる集団

一時は捕らえられるかと思われたが、終盤から先行する3名は協調し全力で逃げ、後続を振り切った。残り500mの最終コーナーへ突入し、勝負は3名でのスプリント勝負に託された。
最初に仕掛けたのは、カバナ。ここをトレザイスがかわし、雄叫びを上げながらフィニッシュに飛び込み、ステージ優勝を決めた。

優勝を果たしたデクラントレザイス
スプリント勝負を制し、優勝を決めたデクラン・トレザイス

その8秒後、強烈に追い上げた集団がフィニッシュ。先頭は岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が押さえ、4位に入った。
ゼイツもこの集団の前方でフィニッシュし、総合優勝が決定した。

ゼイツとヴィノクロフ
ゼイツの総合優勝を笑顔で称えるGMのヴィノクロフ。過去にはトップ選手として活躍し、今回の来日も話題になった

ポイント賞争いは混戦となった。逃げ集団に入り、スプリントポイントを上位通過、3位でフィニッシュしたダイボールが21ポイントを獲得し、兒島に迫ったが、兒島は自ら9位に入賞したことで、4ポイント差で逃げ切り、ジャージを守り抜いた。新人賞はウィリアム・イーブス(ARAスキップ・キャピタル、オーストラリア)が獲得している。

ツールド九州第3ステージ大分の表彰式
確定した4賞ジャージ。新人賞以外は最終ステージまで守り抜いた

EFエデュケーションNIPPOデヴェロップメントチーム
チーム総合で優勝し、笑顔を見せるEFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム

悲運の事故で留目はフィニッシュできなかったが、EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチームがチーム総合首位となった。

トレザイスは「早い段階から仕掛け、後続を引き離すつもりで走った」と語った。「(チームメイトの)イーブスを新人賞1位へと押し上げるというチームの意図もあり、体力を温存しつつ、控えていた」と言う。最後のスプリントに関しては「正直言って、自信があった」と語る。2度目の来日になったが「素晴らしいレース、素晴らしい経験だった」と振り返り「また来年も戻って来たい」と語り、日本語で「アリガトウゴザイマス」と21歳の若者らしい笑顔で締めくくった。

デクラントレザイス
表彰されるデクラン・トレザイス

個人総合首位のアンドレイゼイツ
個人総合首位の表彰を受けるゼイツ

ツールド九州第3ステージ大分の個人総合上位3名
個人総合の上位3名。アンドレイ・ゼイツ、アントニオ・ニバリ(アスタナ・カザクスタンチーム)、ウィリアム・イーブス(ARAスキップ・キャピタル)は順位が上がり、総合の表彰台も獲得した

総合優勝したゼイツは「天候は少しストレスだったが、力を合わせ、優勝を勝ち取ることができた」。展開に関しては「逃げた3名との差も開き、厳しいものであったが、チームメイトが追い上げてくれて、総合優勝をすることができた」と感謝を述べた。「日本に来られてとても幸せだ。明日の午後には帰らなくてはいけないけれど、レース主催者にお礼を言いたい」と笑顔を見せた。
ワールドチームに籍を置き、世界のトップレースを転戦する選手だが、普段はアシストに徹することが多く、自らの個人総合優勝は16年のキャリアの中で初経験だと言う。忘れられない経験になったことだろう。

ツールド九州第3ステージ大分
沿道で声援を送る市民

ツールド九州第3ステージ大分
総合優勝を決めたゼイツを拍手で迎える。ハイタッチをせがむ子どもも

ツールド九州第3ステージ大分
先行する3名の選手を旗で迎える地域の方々

初開催ながら、一般公道を使い、周回コースではなく、ラインレースを展開し、熱いレースで観客を引きつけたツール・ド・九州。多くの観客を集め、コース内は拍手と声援でいっぱいだった。運営もすばらしいものだったと、関わった皆が口を揃えて語る。これからも開催を継続し、世界に認知されるステージレースへとグレードアップしてくれることを期待したい。

ツールド九州第3ステージ大分
レース終了後、激戦を走った選手たちをねぎらい、ハイタッチで交流する市民たち。日本の新しいレースのカタチが見えたような気がする

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【結果】マイナビ ツール・ド・九州2023 第3ステージ大分(129km)
1位/デクラン・トレザイス(ARAスキップ・キャピタル、オーストラリア)2時間57分32秒
2位/ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム、オーストラリア)+0秒
3位/ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)+2秒
4位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム、日本)+8秒
5位/ベンジャミ・プラデス・レヴェルテ(JCLチーム右京)+8秒

【個人総合成績】
1位/アンドレイ・ゼイツ(アスタナ・カザクスタンチーム、カザフスタン)9時間13分30秒
2位/アントニオ・ニバリ(アスタナ・カザクスタンチーム、イタリア)+25秒
3位/ウィリアム・イーブス(ARAスキップ・キャピタル、オーストラリア)+33秒

【ポイント賞】
1位/兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング、日本)41p
2位/山岳賞1位 ベンジャミ・プラデス・レヴェルテ(JCLチーム右京、スペイン)49p

【新人賞】
ウィリアム・イーブス(ARAスキップ・キャピタル、オーストラリア)

【チーム総合成績】
1位/EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム 27時間51分36秒

※( )内の国名は海外チーム在籍選手の国籍
画像提供:ツール・ド・九州2023実行委員会

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【ツール・ド・九州2023開催レポート】
小倉城クリテリウム
第1ステージ福岡
第2ステージ熊本阿蘇

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