第37回シマノ鈴鹿ロード2022
2日目も、早朝から動きが始まり、6時15分の試走から、参加者が走り始めた。この日は10歳刻みの年齢別にカテゴリーが決まる「マスターズ」からスタート。ベテランの「60+」カテゴリーには、最高齢に当たる複数の78歳選手が参加しており、堂々たる走りを見せた。アップダウンのある鈴鹿サーキットでの個人ロードレースに78歳で参加、完走できるとは。そのしゃっきりとした年齢を感じさせないたたずまいを見て、鍛錬を続けていれば、人間はある程度、老化を食い止められるというのは本当だなと、しみじみ感じる一幕だった。
「マスターズ60+」には70歳代のレーサーも多く、最高齢は78歳!
中学生や小学生のレース、レベルの高い「7周レース」「エリートレース」を経て、最後はJCF公認大会である「シマノ鈴鹿ロードレースクラシック」だ。女子は同一系列のチームからの出走者が多く、逆に選手間のかけひきが注目を集めたが、その難しいレース運びの中で髙橋由佳(バルバクラブエチゼン)が優勝を勝ち取った。
難しいレース運びの中で、髙橋由佳(バルバクラブエチゼン)が優勝
クラシック女子は同系列チームが表彰台を占めた
男子は、国内の主要プロチームが参戦するハイレベルな戦いになる。スタート前に2名の選手の今季引退が発表され、花束が渡された。吉田隼人(マトリックスパワータグ)は子どもの頃から参加してきたシマノ鈴鹿で引退したいとの希望で、これをラストレースと決めたという。中島康晴(キナンレーシングチーム)も同郷の元プロ選手から花束をもらい、声をつまらせていた。奇しくも、この2名はスプリンター。有終の美を飾らせたい2チームが彼らをどう押し上げるかもレースの上では注目された。
マトリックスパワータグが集団をコントロール
サーキットを10周する58.1kmのレースがスタート。冒頭から、ハイスピードの展開となった。アタックが頻発するが、どれも形にはならない。吉田を抱えるマトリックスパワータグが集団をコントロールすべく前方を固めた。動きが出たのは6周目。東京五輪ロード日本代表の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、風間翔眞と天野壮悠(シマノレーシング)、花田聖誠(キナンレーシングチーム)、国内リーグのJプロツアーで首位を行く小林海(マトリックス・パワータグ)が抜け出しに成功したのだ。実力者を含むこの逃げに警戒感が高まる。
だが、他チームもメイン集団の追い上げに協力し、最終周回前に5人が吸収され、振り出しに戻った。各チームは集団スプリントに向けての準備態勢に入った。最終コーナーを回り、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が先行したが、大本命のレイモンド・クレダー(チーム右京)が強烈に追い上げる。さらには、ラストレースに全身全霊をかけ、臨む吉田も渾身の伸びで食い込んできた。
白熱のゴールスプリント。僅差でレイモンド・クレダー(チーム右京)を下した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が優勝
レース後はシャンパンファイト! 引退を表明した2名も表彰台に上り、祝福を受けた
ほぼ同時にフィニッシュラインに飛び込んだ3名だが、映像判定の結果、小野寺の勝利が告げられた。宇都宮ブリッツェンは、チームタイムトライアル、クラシックともに優勝を飾る結果となった。また、クラシックでは、3位に吉田隼人、4位に中島康晴と引退を表明した両選手が入り、選手個人と、送り出すチームの思いを感じる結果となった。
最後を飾るのは、最年少のレース。「車輪がついてさえいれば参加可能」という出走規定に、0歳から6歳までの未就学児たちが集まった。激戦の直後、鈴鹿サーキットを無邪気に駆ける子どもたちの愛らしい姿に、皆がほっこりと笑顔になり、惜しみのない拍手が贈られていた。
0歳から参加できる未就学児のレース「ミルキー」。ベビーカーでの参加ももちろんOK
笑顔のキッズライダー
2日目もレースやイベントの様子がライブでフルに動画配信された。
各レースではスターターを募集し、誰でもスターターを務めることができる
「楽しくてたまらない!」「シマノ鈴鹿最高!」参加者に感想を聞くと、こんな声が多く返ってきた今年のシマノ鈴鹿。「伝統の大会」から「誰でも楽しめる夏のお祭り」に変わってきているのを感じた
コロナ禍にありながら工夫を重ねて開催したシマノ鈴鹿ロードは大成功だったと言えるだろう。配信の視聴者数も主催者の予想より多かった。今年はリアルの参加を控えたが、来年は会場に戻ってくる」という参加者もおそらく多いことだろう。マスクの下に全開の笑顔を浮かべ、この2日間を楽しむ方々の姿が、とても印象的だった。
画像提供:シマノ鈴鹿ロード(株式会社シマノ)、編集部
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