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2021/05/04

P-Navi編集部

名護屋城歴史サイクルルート・モニターライド

名護屋城歴史サイクルルート・モニターライド

寺に戻り、ライドに再出発! 名護屋大橋を渡り、呼子港などをめぐるコースの東パートへ繰り出す。呼子エリアを反時計回りに回るルートになる。


「黒田長政陣跡」だ!

名護屋大橋を渡って、ふと止まった道の向かい側に「黒田長政陣跡」の看板が。大河ドラマにもなった黒田官兵衛の息子だ! ごく普通の町の風景の中に、有名大名の陣跡が点在しているとは、何とも不思議な感覚。当時は全国の武将がひしめきあっていたわけで、一体ここにはどんな社会が展開されていたのだろう?
住宅街や農地の間を縫い、交通量の少ない道を行く。ゆるいアップダウンの繰り返しにはなるが、ノーストレスだ。ほどなく、呼子港近くの商店が連なるエリアに差し掛かる。一同は港そばの駐車場の一角に自転車をまとめて停め、軽い休憩となった。前日に引き続き、この日もせわしない立ち寄りとなった。いつか朝市も散策したいし、イカも食べてみたい!

さて、ここからはもうライドも終盤の仕上げパートに突入する。北上し、呼子大橋のふもとに向かうと、博物館でお世話になった学芸員の松浦さんが待ってくれていた。会ったのは数時間前のことなのに、不思議と懐かしさのような感情がこみあげる。
自転車を停め、道路を渡り、丘を上る。ここは秀吉に仕えた、賤ヶ岳の七本槍・七将の一人である加藤嘉明の陣跡があった場所だ。淡路島を治めていた水軍の将ということで岬の上に陣を構えたらしい。


加藤嘉明の陣跡に向かう


夕陽を浴びながら、屏風絵と同じ風景を眺める。この400年で、変わったものと、変わらないものがある


ここからは屏風絵と近い画角で現在の名護屋城エリアを眺められる


屏風絵と現代の様子を比べながら、美しい景観に見入る参加者たち

この岬の高台から見る景色は、朝博物館で見た屏風絵「肥前名護屋城図屏風」に描かれた、名護屋城最盛期当時のエリアの様子と重なる。正面に名護屋城、手前には徳川家康の陣屋があったはず。今は名護屋大橋や呼子大橋などの橋がかかっているが、当時は船で行き来していたのだろう。傾き、色を変え始めた太陽の光に照らされ、キラキラ輝く穏やかな海と、その向こうに広がる今も緑豊かなこのエリアを眺め、しばしここで展開されてきた歴史に思いを馳せたのだった。


この日最後の大きな登坂だ。ゴールまであと少し!

少々きつめの登坂も越えながら、ゴールに向かう。疲れは出てきているが、皆まだまだ元気だ。

名護屋大橋を渡れば、ゴールはもうすぐ。トンネルを越え、少し名残惜しい思いも抱えつつ、名護屋城博物館前にゴール! コースの距離は24kmと聞いていたが、ほぼアップダウンのみで、見どころが多かったこともあり、倍くらいの距離を走ったような達成感があった。


差し入れられた「けえらん」。素朴だが、洗練された味

ゴールした参加者全員に、屏風絵が描かれたうちわと、武将たちのキャラクターが描かれたクリアファイルが配られ、地元のお菓子「けえらん」が差し入れされた。この「けえらん」は蒸したうるち米で作った生地で、丁寧に炊いたあんを巻いたシンプルな和菓子。太閤秀吉が必勝祈願で神社を訪れた際に、地元の人々が戦勝祈願に献上すると「これを食べたら、勝つまで帰らん(けえらん)」と語ったことから、この名が付いた。唐津市の和菓子店が、この当時の手法を今も守り、同じ味を提供し続けている。少し噛みごたえのある、もちもちとした生地に、気持ちのいい甘さのあんが巻かれていて、ゴール後の身体にしみる美味しさだ。

このイベントで、事故やトラブルはゼロ。皆で気持ちよく最後まで走ることができた。
今回の参加者の声や走行状況を受けてブラッシュアップし、詳細を決め込み、歴史サイクルルートのマップなどが作成される。次のチャンスには陣跡マップを手に、呼子のイカや波戸岬のサザエなど、グルメスポットもめぐりつつ楽しみたい。

今後も名護屋城エリアでは、歴史や文化をテーマとした新たな文化ツーリズムに取り組んでいくという。ライドだけでなく、知的好奇心も満足させてくれるこのエリア。今後サイクリングの行き先としても、注目を集めることになりそうだ。

(※昨年冬のレポートです)

画像提供:佐賀県、編集部

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