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2022/01/25

P-Navi編集部

春を待つSakura RollingHillsライド

春を待つSakura RollingHillsライド

ルート沿いには自然や田園風景が広がっており、ゆったり上る分には、気持ちよく走れる道だ。幸運なことに、まだ紅葉も残っており、色づいた葉が周囲の景観を赤や黄色に彩っていた。一同は、雨に濡れてはいても、どこかぬくもりを感じられる里山を堪能しながら進んでいった。


藁立てされた田の横を走る。稲が青々と茂る盛夏の風景も見てみたくなった

しばらく走ると、下りに差し掛かった。少し霧が出ていて、幻想的な雰囲気。森の間を抜けて下る。天に向かってまっすぐに伸びる針葉樹林は、どこか神々しかった。冷たい空気を切って走るのは爽快だ。


木々の間を抜けて走る。霧が出てきた

ふと気づくと、一行は隣接する古殿町に差し掛かっていた。田園風景を走ると、前方の山々に綿をかけたような霧がかかっている。神秘的な景観だ。晴天も美しいけれど、曇天でも、曇天ならではの風景を楽しむことができ、また違う魅力があるね、と話し合う。


ちぎった綿のように霧がかかる山々。仙人や神様が住んでいそうな不思議なオーラを放つ

ルートは川沿いにやってきた。伝説に名前の由来を置くという鮫川だ。この川沿いにも、見渡す限り桜が連なり植えられている。山と林と田園風景とポツポツ現れる家屋とが織りなす、日本人が持つ「昔話」のイメージにも近いのんびりとした景観を、春になれば桜が華やかに彩ることだろう。


桜並木が続く鮫川沿いを走る

昼食場所に到着。この日のランチは「小澤ファーム」という農家レストランでいただく。ごく一般の住宅に見える建物のドアをガラガラと開けると、中は土間が広がり、火が焚かれた囲炉裏には大鍋が用意され、温かい汁物が炊かれていた。タイムスリップしたような空間だ。


昼食会場が見えてきた! ごく普通の民家に見える

レストランの女将、啓子さんが笑顔で迎え入れてくれた。今まさに配膳を行っていたところだと言う。土間のテーブルの上にはお膳が並び、すでに煮物やおにぎりが並んでいた。「もうちょっと待っててね」と笑顔を見せる啓子さん。一行はくつろいで囲炉裏を囲み、心なつかしい空間での時間を楽しんだ。


囲炉裏にかかった大鍋から熱々の汁物をよそってくれる

昼食の用意が済み、着席するように促された。お膳には近くで採れた野菜やきのこ、食用菊の天ぷらや、煮物、山菜の煮付けなどが並んでいた。啓子さんが大きなお椀にたっぷりと汁物をよそってくれて、ひとりひとりに渡してくれる。野菜をふんだんに使った気取らない汁物には、うどんが入っているようだ。大ぶりのツヤツヤのおにぎりは、「悩んだんだけど、せっかくの新米だから、塩にぎりにしたのよ」と微笑む啓子さん。とれたての新米の塩にぎりなんて、最高のごちそうじゃないか。


心尽くしの料理が並ぶ


汁物にはうどんが隠されていた!

それぞれの食材に合わせて調理されたどの料理にも、もてなしの想いが込められているように感じる。素材も新鮮で味が濃く、くし切りのたまねぎの甘さに感動したり、菊の天ぷらに秋を感じたりと、ひとつひとつをありがたくいただいた。聞けば、春にはさくらの花を天ぷらにして出すこともあるという。季節を食卓に盛り込むという日本文化の良さを再確認した。


寒天や餅、フルーツと素朴だが、目にも美しいデザート

食事を食べ始めたころ、外が暗くなり、激しい雨が降り出した。立ち寄り中だったことに、胸を撫で下ろす。雨宿りも兼ねて、少しゆっくりさせてもらおう。


啓子さん手作りの桜茶。お湯を注ぐとふわりと広がる桜の花びらが美しい

話題は、古殿町の桜の話に。桜の木が並ぶ鮫川沿いに加え、周辺には多くの桜の木があり、啓子さんはその1000本を超える桜の木の数も数えたことがあるという。ますます、桜の開花時期に再訪したい気持ちが募る。話を弾ませているうちに雨が上がり、晴れ間も見えてきた。

※再スタート!峠を越えてゴールを目指す→3ページ目をご覧ください。

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