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2023/06/07

P-Navi編集部

ツアー・オブ・ジャパン2023第4ステージ

ツアー・オブ・ジャパン2023第4ステージ

日本を縦断し、8レースが開催されるステージレース『ツアー・オブ・ジャパン2023』の4日目は、岐阜県美濃市で開催された美濃ステージだ。

このコースは、美濃の歴史的景観を誇る「うだつの上がる街並み」をスタートし、旧今井家住宅前から 4.0kmのパレード区間を経て、21kmの美濃和紙の里会館前周回コースを 6周回する。トータルの走行距離は137.3kmとなる。

山岳の設定はあるものの、他のステージと比べると、アップダウンはなだらかで、さらに山岳賞付近の道路の設計が変わったため、少し高低差が小さくなったという。勝敗が集団スプリントで決されることも多く、スプリンターたちにもチャンスのあるステージだと言えよう。
選手たちが、スタート地点に設定された「うだつの上がる街並み」に集結する。最前列に並ぶのは、リーダージャージを着た4名だ。グリーンジャージを着用する個人総合時間首位に加え、ポイント賞(ブルージャージ)、新人賞(ホワイトジャージ)も全てルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)が首位となったため、ブルージャージはカーター・ベトルス(ヴィクトワール広島)、ホワイトジャージはリアム・ジョンストン(トリニティレーシング)とランキング2位の選手が繰り上げで着用し、出走する。山岳賞のレッドジャージは、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が守っている。このステ
ージのホストチームは愛三工業レーシングチームが務める。


「うだつの上がる街並み」に集まった選手たちの最前列にリーダージャージを着て並ぶ4名

沿道を埋める観客の拍手を受けながら、選手たちがパレード走行へと出発した。
リアルスタートが切られてまもなく、アタックの掛け合いの中から、4名が抜け出し、1名が合流。メンバーの入れ替わりはあったが、5名の先頭集団が作られた。メンバーは、メトケル・イヨブ(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)、ロレンツォ・ディカミッロ(ソフェル・サヴィーニ・デュー・オムズ)。国内チームからは、近年、急成長を見せる中井唯晶(シマノレーシング)、逃げのスペシャリスト阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、さらには、先行し、山岳賞を死守したい兒島直樹の5名だ。メイン集団はこの5名の先行を容認し、ペースを落ち着かせた。


形成された5名の先頭集団

メイン集団の先頭は、リーダージャージを抱えるトリニティ・レーシングが固め、コントールを始めた。逃げ集団とのタイム差は一気に広がり、3周回目には最大4分以上にまで開いてしまった。
この間に山岳賞が設定されており、1回目の山岳賞は、中井と兒島の戦いの結果、小島が競り勝った。2回目の山岳賞も、兒島が山岳賞ジャージの意地を見せ、トップ通過を果たしている。順調にポイントを積み増した兒島は、山岳賞争いで一歩リードした形となった。翌日から厳しい山岳が設定されるステージとなるため、展開によってはポイント獲得が難しくなる可能性もあり、賢い判断と言えよう。


山岳賞を競り合う山岳賞ジャージ姿の兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)と中井唯晶(シマノレーシング)

大きく開いた差に対し、メイン集団は追撃態勢を整えて少しずつペースアップを始めた。タイム差を4分以内に縮め、前半を折り返し、後半戦に突入する。4周目に入ると、メイン集団の先頭にはトリニティ・レーシングに加えマトリックスパワータグも上がり、ペースアップし、本格的な追撃に入った。先頭5名とのタイム差を2分34秒まで縮めて、ラスト2周に入る。
メイン集団はさらにペースアップ。猛烈なスピードで5名を追い上げる。
最終周回に突入した段階で、タイム差は51秒まで縮まっていた。兒島、中井、阿部は先行を断念し、メイン集団に吸収された。
だが、イヨブとディカミッロは最後の望みをかけて、全力で逃げ切りを目指す。協調し、ゴールに向かっていたが、ラスト9km 地点を過ぎたところで、メイン集団に飲み込まれてしまった。
ここでレースは振り出しに戻る。優勝の行方は、集団スプリントに持ち込まれた。各チームがスプリンターたちに勝たせるため、態勢を整えるべく、スピードが上がった集団前方の動きが激しくなる。
トラックレースのトップレーサーや競輪選手などのスピードマンを多く抱えるチームブリヂストンサイクリングが隊列を組み、ラスト1kmに差し掛かる。窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)がこの隊列から打ち出され、すばらしいスプリントでゴールへ飛び出した。ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ)や、イエルン・メイヤス(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)も追い上げる。だが、その後方から、今大会勢いに乗るランパーティが爆発的な加速を見せた。


フィニッシュラインにハンドルを押し込み合う選手たち

フィニッシュラインでハンドルを投げ合い、勝利を確信した窪木はガッツポーズ。だが、写真判定の結果、勝ったのはランパーティだった。二人の差はわずか1000分の1秒だったという。


判定の結果、競り勝ったのはランパーティ(トリニティ・レーシング)


自ら勝利を重ねることで、3つのジャージを守ったランパーティ

ランパーティは喜びとともに「チームがしっかりレースをコントロールしてくれたので、自分の勝利につなげることができた」とチームメイトへの感謝を語った。判定に持ち越されるほどの接戦については「スプリントは、ちょっと遅いタイミングだったが、逆にそれが上手く行った」と勝利を分析して見せた。
今大会ステージ2勝目を決めたランパーティは、もちろんグリーンジャージをキープ。ポイント賞、新人賞も守っている。逃げ集団に乗り、ポイントを積み増した兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)も山岳賞ジャージを守った。
第5ステージは、最難関とも言われる山岳ステージの信州飯田ステージを迎える。

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【結果】
ツアー・オブ・ジャパン 第4ステージ・美濃(137.3km)

1位/ルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)3時間8分1秒
2位/窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)+0秒
3位/イエルン・メイヤス(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)
4位/ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ)
5位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

【個人総合時間賞(グリーンジャージ)】
1位/ルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)

【個人総合ポイント賞(ブルージャージ)】
1位/ルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)

個人総合新人賞(ホワイトジャージ)
1位/ルーク・ランパーティー(トリニティレーシング)

個人総合山岳賞(レッドジャージ)
1位/兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)

【チーム総合成績】
1位/JCLチーム右京

画像提供:ツアー・オブ・ジャパン組織委員会

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ツアー・オブ・ジャパン2023レースレポート
第1ステージ・堺
第2ステージ・京都
第3ステージ・いなべ

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