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2023/07/18

P-Navi編集部

全日本選手権ロードレース2023(女子エリート+U23)

全日本選手権ロードレース2023(女子エリート+U23)

静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンター(以下、日本CSC)を舞台に6月23日から25日の3日間、ロード競技の全日本選手権2023年全日本自転車競技選手権大会 ロード・レース」が開催された。この会場で全日本が開かれるのは、18年ぶり。初日にはタイムトライアルが開催され、2日目からロードレースが始まった。

今回ロードレースに使用されるのは、日本CSCの5kmサーキットに、競輪選手養成所で使用される3km分のコースを加えた特設の8kmサーキット。平坦区間はほぼなく、緩くはないアップダウンが繰り返され、日本随一の厳しいコースとして知られている。1周の獲得標高は
250mを超え、11周で競われる女子のレースでも、距離は88kmと短いが、2750mを超える標高差を上らねばならない。過酷な山岳レースの設定となった。


平坦区間がなく、アップダウンのみで構成された8kmサーキット(画像出典:JCF大会資料)

女子エリートはU23カテゴリーと混走で行われる。今回の注目は、最高峰であるUCI(世界自転車競技連合)女子ワールドチームのひとつ、アメリカ国籍のヒューマン・パワード・ヘルスに所属し、世界のトップレースを走る與那嶺恵理(ヒューマン・パワード・ヘルス)だろう。過去に全日本選手権を5回制している。ディフェンディングチャンピオンである樫木祥子(株式会社オーエンス)は腰痛のため出走を断念した。
25名のライダーがスタートラインにつき、サーキットにスタートして行った。


25名が参戦するレースが始まった

スタート直後から動きは出るものの、厳しいコース設定もあり、慎重に走る選手たち。目立った動きが出ないまま、集団は1周17分ほどのペースで周回を重ねて行った。


大集団で推移する

厳しいコースを走る中で、3周目に若干のペースアップがあり、集団から数名の選手が脱落。ペースは落ち着いたが、4周目の時点で、すでに集団は10名弱まで絞り込まれていた。
5周目の登り区間で、動きが生まれた。與那嶺恵理(ヒューマン・パワード・ヘルス)が動いたのだ。與那嶺は飛び出すというより、ペースを上げ、するすると集団から抜け出していく。


大本命の與那嶺恵理(ヒューマン・パワード・ヘルス)が集団から抜け出したが、誰も食らいつくことはできなかった

数名がこの動きに反応しようとペースアップしたが、間を詰めることができず、次第に差は開いて行った。このまま與那嶺は自分のペースを刻みながら、先頭を独走する態勢に。この周回を、與那嶺はラップタイム15分21秒で走破している。
東京2020オリンピックロード日本代表の金子広美(イナーメ信濃山形)、海外経験も豊富な牧瀬翼(ウィングスプラス)、昨年のU23ロードチャンピオンであり、MTBクロスカントリーでも優勝した小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)の3名が追走態勢に入る。


與那嶺を追う3名の追走集団

だが、単独で先行する與那嶺はこの3名を上回るペースで周回を回り、差は詰まるどころか、周回を経るごとにじわじわと開いて行った。


與那嶺が誰も寄せつけない

與那嶺は、最速のタイムを刻み続け、追走を寄せつけない。時に與那嶺と追走のラップタイムは1分半以上の差がついた。
前日のタイムトライアル選手権を制した石田唯(早稲田大学)が単独5番手のポジションで3名を追い上げたが、追走集団は、この追撃を振り切り、3名のまま最終周回へ突入した。
最終周回に入る頃には、半分以上の選手がタイムアウトを宣告され、レースを去っており、サーキットを走るのは、わずか8名のみに。
與那嶺は追走に7分以上の大差をつけたまま、独走で悠々とフィニッシュラインに飛び込んだ。與那嶺の優勝は、2019年以来4年ぶり。6度目の全日本選手権優勝を決めた。


悠々と両手を上げてフィニッシュする與那嶺。6度目の優勝を決めた

残る表彰台争いは、追走の3名の間で展開された。最終周回も3名のまま走り抜け、スプリント勝負に持ち越された。力強く踏み切った牧瀬が2位を勝ち取り、小林が3位に入った。小林は、U23では首位となり、U23の全日本選手権の連覇を果たした形となった。


牧瀬翼(ウィングスプラス)が力強いスプリントで2秒の差をつけて2位、3位には小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が入った


全力を出し切り、ゴール後に倒れ込んだ小林。堂々の走りでU23を連覇、エリートでも3位に食い込んだ

独走でありながら、時にはラップタイム15分と格の違う強さを見せた與那嶺は、「このチームでチャンピオンジャージを着るのは初めてで、嬉しい」と笑顔を見せ「日本の皆さんに私の走りを見てもらえる唯一の機会で、そこで勝てたのは嬉しい」と語った。7月には女性のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに出場するという。


3名の表彰台。與那嶺はこの後に渡欧し、ビッグレースに臨む


U23は小林が連覇。表彰台では笑顔を見せた

暑さもあり、序盤から脚をつってしまう選手が続出していたようだ。ゴール後に倒れ込む選手もおり、レースの厳しさを語っていた。
この翌日には、さらに厳しい設定で開催される男子エリートのレースが待っている。稀に見る過酷な設定で繰り広げられる頂上決戦は、どのような展開を見せるか注目を集めた。

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【結果】
全日本選手権ロードレース2023 女子エリート+U23

1位/與那嶺恵理(ヒューマン・パワード・ヘルス)3時間2分3秒
2位/牧瀬翼(ウィングス・プラス)+7分23秒
3位/小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)U23=首位 +7分25秒
4位/金子広美(イナーメ信濃山形)+7分27秒
5位/石田唯(早稲田大学)U23=2位 +10分44秒

画像:Satoshi ODA

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