TOP > 自転車競技 > 三菱地所おおいたアーバンクラシック

自転車競技

一覧へ戻る

自転車競技

2021/10/20

P-Navi編集部

三菱地所おおいたアーバンクラシック

三菱地所おおいたアーバンクラシック

ラスト4周に入ると、タイム差は4分にまで開き、事実上、勝負は先頭7名に絞り込まれることになった。このままで終わりたくないメンバーが集団となり、追走の動きも生まれてくるが、先頭に合流する見込みは薄いように思われた。
ここから先頭7名の中に、勝負を意識した緊張感が漂い始める。西尾がハイペースの先頭から脱落し、6名となり、ラスト3周が見えてきたころ、次の動きが生まれた。マンセボが、上りを前に鋭いアタックを繰り出し、他の選手を振り払ったのだ。


マンセボが仕掛けた。キレのあるアタックに先頭集団は一気に崩壊した

この動きに直ちに反応できたのは、小石のみ。すぐにマンセボの後ろに付き、2名のグループとなる。山本、小野寺も持ちこたえて先頭2名を追ったが、岡本、風間はこの動きが決定打になり、集団から完全に脱落。ほどなく山本が小野寺を振り切り、先頭2名に合流し、マンセボ、小石と3名の集団になった。厳しい展開を越えてきた強力な3名だ。小野寺は単独ながら4番手をキープし、周回を重ねていく意地を見せた。


先頭に山本が合流。強力な3名の集団となった

実力も拮抗する強者3名。このままゴールスプリントになるかと思われたが、最終周回、またもやマンセボが仕掛けた。丘陵地帯の上りでアタックし、2人を振り切りにかかった。


ラスト7kmの独走に賭けるマンセボ

このキレのあるアタックに2人は着いていけず、マンセボは独走態勢に入った。全身全霊の力を込め、ペダルを踏み込んでいくマンセボは、ラスト7kmをハイスピードで駆け抜け、満面の笑顔を浮かべながら、フィニッシュラインを越えた。


ガッツポーズでフィニッシュラインを越えたマンセボ。45歳にして独走でUCIレースの優勝を勝ち取った

マンセボを追った山本が単独で2位に入り、やや遅れて入った小石が3位の座を獲得した。4位以下は、追い上げてきた集団のスプリント勝負となり、ここで競り勝ったのは、地元の期待を背負った孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)だった。非常にタフなレースの中で健闘し、チームのUCIポイント獲得も果たすことになった。


佐藤市長(左より3番目)とともに青空の下での表彰式。選手たちは達成感のある笑顔を浮かべていた

マンセボは笑顔で優勝の喜びを語った。「非常にハードなコースだった」と、コースを評した上で「各チームがメンバーを送り込んだ集団に乗れたのがラッキーだった」とコメント。「最後はスプリント勝負になると勝てるかどうかわからないため」抜け出しを考えたが、「コースがタフであり、(今の自分が)独走し、持ちこたえられるのは7~8km」と読んだという。「向かい風が吹いていた最後の上りで仕掛けるのがベスト」だと、“経験上”判断し、計画通り独走に持ち込んだそうだ。読みは全て当たり、優勝をもぎ取ったマンセボは、今年45歳。「人生で最初にUCIレースに勝ったのが23年前で、23年後もこうやってUCIレースを勝っている」と感慨深く語った。加齢による衰えをみじんも感じさせないマンセボ。勘を研ぎ澄ませたベテランによる圧巻の優勝だった。

このレースも国内プロリーグの「三菱地所JCLロードレースツアー2021」のポイント付与対象レースになっている。獲得したUCIポイントの10倍が組み込まれることとなり、400ポイントを加算した山本大喜が、個人総合リーダーに返り咲くことになった。U23のランキングでは、U23最上位でフィニッシュした本田晴飛(VC福岡)がランキングトップを保っている。
踏み込んだ感染対策を施し、観客を入れ、ウィズコロナの新しい開催スタイルを示した「おおいたアーバンクラシック」。選手たちが全力でぶつかりあったサバイバルレースは、見応えのあるものだった。地元市民の皆さんの支持も高かったようだ。

今月10月21日からは全日本選手権の開催が控えている。ナショナル選手権の開催は6月末とUCIに規定されており、シーズン終盤になってからの開催は非常に稀。今回のレースの中身は、この選手権の行方を占うものとなっただろうか。二つのプロリーグも大詰めを迎えており、国内ロードレースは、まさに今季のクライマックスを迎えようとしている__。

***************

【結果】三菱地所おおいたアーバンクラシック(150.8 km 優勝者平均速度43.75km/h)
1位/フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)3時間30分48秒
2位/山本大喜(キナンサイクリングチーム) +53秒
3位/小石祐馬(チーム右京相模原)+2分03秒
4位/孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)+5分01秒
5位/阿曽圭佑(ヴィクトワール広島)
6位/伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)

画像提供:JCLロードレースツアー(株式会社ジャパンサイクルリーグ)

***************

JCLロードレースツアー2021レポート
三菱地所おおいたいこいの道クリテリウム
第7戦「秋吉台カルストロードレース」
第6戦「山口ながとクリテリウム」
第5戦「コーユーレンティアオートポリスロードレース」
第4戦「広島トヨタ広島クリテリウム」
第3戦「広島トヨタ広島ロードレース」
第2戦「カンセキ宇都宮清原クリテリウム」
開幕戦「カンセキ真岡芳賀ロードレース」

JCLバンクリーグ2021レポート
Round3宇都宮ステージ
Round2名古屋ステージ
Round1大分ステージ

12

ページの先頭へ

メニューを開く